グラフェンの品質

グラフェンはタッチパネル、太陽電池、リチウムイオン電池、燃料電池、LEDなどの電極や、ヒートスプレッド、ヒートシンクなどの放熱・熱拡散用途のほか、高速トランジスタ、ガスバリア(封止膜、真空・密閉容器、生体・食品容器)などに適用されます。

この時、単層膜、多層膜など様々な適用形態がありますので、成膜基板やプロセス条件によりこれらの検討ができるようにご支援いたします。

銅箔

本装置でグラフェンを成膜するための銅箔は、プロセスに最適化されたものを使用しており、より高品質な単層グラフェンが得られます。

銅箔スペック

  • 材質 銅(純度99.9%以上)
  • 厚さ 35μm

(メーカー代表値)


銅箔状CVDグラフェン(単層)


銅箔グラフェンのラマンスペクトル

ニッケル箔

ニッケル箔スペック

  • 材質 ニッケル(純度99.9%以上)
  • 厚さ 15μm

(メーカー代表値)


ニッケルサンプル(多層)


SiO2/Si基板に転写したニッケルグラフェンのラマンスペクトル

PET基板

PET基板スペック


PET基板上のグラフェンサンプル

  • 材質 PET樹脂
  • 片面易接着層(ポリエステル系)
  • 厚さ 188μm
  • ヘイズ 0.9%
  • 全光線透過率 92.0%
  • 引張強さ MD:179MPa TD:197MPa
  • 伸び率 MD:132% TD:99%
  • 静摩擦係数 0.46
  • 動摩擦係数 0.40
  • 加熱収縮率 MD:0.90% TD:0.70%

(メーカー代表値)


ラマンスペクトル


シート抵抗


光透過率

石英ガラス

石英ガラス基板スペック


石英ガラス上のグラフェンサンプル

  • 材質 合成石英硝子
  • サイズ 50mm□、100mm□
  • 厚さ 2.0mm±0.1mm
  • 面精度 両面光学研磨
  • 平行度 1分
  • 外観規格 MIL20-10
  • 分光透過率 93% (波長550nm)
  • 屈折率 1.4585/nd (波長587.6nm)

(メーカー代表値)


ラマンスペクトル


シート抵抗


光透過率

SiO2/Si基板

SiO2/Si基板スペック


SiO2/Si基板上のグラフェンサンプル

  • 材質 単結晶シリコン(CZ法)
  • 面方位(100)
  • ウエハー径 4インチ(100mm±0.5mm)
  • ウエハー厚 525μm±25μm
  • 熱酸化膜 1000ű10%
  • 表面 片面鏡面研磨
(標準品)
  • タイプ Pタイプ(ボロン)
  • 抵抗率 10Ωcm以下
(低抵抗品)
  • タイプ Pタイプ(ボロン)
  • 抵抗率 0.002~0.005Ωcm
  • 熱酸化膜 1000ű20%
  • ※バックゲートに使用の場合は、これを選択してください。
(Nドープ)
  • タイプ Nタイプ(リン)
  • 抵抗率 10Ωcm以下

(メーカー代表値)
※SiO2/Si基板は、標準品/低抵抗品/Nドープ品 の3種類からお選びいただけます。
ご注文時にお知らせください。


ラマンスペクトル(標準品)


シート抵抗(標準品)

TEMグリッド

TEMグリッド #2000


TEMグリッド概略図

  • 材質 銅
  • 厚さ 0.004mm
  • 外形 Φ3.05mm
  • メッシュ #2000
  • メッシュピッチ 12.5μm
  • メッシュ穴 □7.5μm
  • メッシュ線 5μm

(メーカー代表値)

TEMグリッド #300 カーボン補強有

  • 材質 銅
  • 厚さ 0.004mm
  • 外形 Φ3.05mm
  • メッシュ #300+カーボン補強

(メーカー代表値)


SEM像 #2000 単層グラフェン


SEM像 #300 単層グラフェン


SEM像 #2000 多層グラフェン


SEM像 #300 多層グラフェン

ラマンスペクトルの読み方

グラフの読み方

  1. Dバンドにピークがないことを確認します。ピークが出ているとグラフェンが断片化していることを示します。
  2. 2DバンドとGバンドのピーク高さの比を比較します。
    2D>Gの場合 グラフェン1層膜
    2D≒Gの場合 グラフェン2層膜
    2D<Gの場合 グラフェン3層膜以上
  3. 3ヶ所を測定した波形を同じグラフ内にズラして(1)~(3)として、表示しています。

銅箔の光学顕微鏡像
(中心を測定)

用語説明

  • ラマン分光分析
    ラマン効果により散乱された光と入射光のエネルギー差で物質内の分子や結晶の振動順位や回転順位など、その構造に応じた特有の振動エネルギーを測定する方法。(wikipedia ラマン効果より)
  • バンド
    • D(Defect Bandの略) 六員環の端面から出る欠陥 ラマンシフト値:1350付近
    • G(Graphite Bandの略) グラファイトのsp2結合の伸縮振動 ラマンシフト値:1585付近
    • 2D Dバンドの倍音 グラフェンの六員環構造 ラマンシフト値:2700付近

FAQ

Q.サンプルや受託成膜には測定データが付属しますか?
A.はい。各サンプルごとに下記のデータがCD-ROMで付属いたします。

  • ラマンスペクトルのスクリーンショット
  • ラマンスペクトルのCSVファイル
  • 光学顕微鏡のスクリーンショット

Q.サンプルの測定箇所は?
A.成膜したサンプルの端部から10mm内側で、中央・両端部の3ヶ所を測定しています。(右図参照)

Q.ベースラインがフラットではない理由は?
A.ラマン分光はレーザーの照射によって発せられる蛍光を測定します。樹脂や金属は蛍光を発するためフラットにはなりません。基板がSiO2の場合はほぼフラットになります。

Q.グレンサイズ(グラフェンの結晶)はどの位ですか?
A.Dバンドが0の場合、理論的には結晶サイズが無限大であり、完全な単分子膜を示します。

Q.購入したサンプルを測定したら、添付資料の結果が出なかった。
A.測定箇所や状態により多少の測定バラつきが発生します。ただし、何度測定しても大きく違う場合は、不良品の可能性があります。代わりの物と交換いたしますので、お手数ですが、ご連絡ください。